MISTRAL TECH BLOG
請求書と稼働チェックを内製化——勤怠管理ツールMistrackを1週間で作った話
エンジニア一人ひとりの稼働確認と請求書チェックに追われていたミストラルテック。エンジニアの会社らしく、自分たちで勤怠管理ツールを内製化したらどうなったか。SESや受託の管理コストに悩む方へ、1週間でリリースして毎週改善している実例をお話しします。

エンジニアの稼働確認と請求書チェックに、毎月追われていました
ミストラルテックは、エンジニアの皆さんがクライアント企業に常駐したり受託案件に関わったりする働き方を中心に運営しています。月末になると、決まってこんな景色が広がっていました。
- 各メンバーの稼働時間を、メッセージやスプレッドシートからかき集める
- クライアントごとに請求書のフォーマットを整える
- 「先月の合計時間どうでしたっけ」「マージン率いくつでしたっけ」を確認する往復
- 数字の転記ミスを発見して、また計算し直す
一人ひとりに悪気はないのに、月末の数日が「数字を集めて整える時間」で消えていきます。経営側からすると、これは売上規模が増えるほど確実に膨らんでいく見えにくいコストです。ツールを買って入れる選択肢もありますが、SES・受託まわりの細かい運用(時給、マージン率、配置期間、プロジェクト跨ぎの稼働)まで自社に合うものを探すと、なかなかぴったり来るものが見つかりません。
エンジニアの会社なんだから、作りませんか
「お客様には『内製化、ご支援します』と言っているのに、自分たちの管理業務は手作業のまま」——これは違和感を放置するほど、どんどん大きくなっていきます。そこで決めたのが、自分たちが毎月困っているところを、自分たちで作るということでした。
要件は、月末の作業を再現するだけです。
- エンジニアが日々の稼働を入力できる(直接時間入力 / 開始終了+休憩から自動計算)
- 管理者が全員の稼働を一覧で確認できる
- プロジェクトとメンバーを紐づける「配置」を管理できる
- 月次で稼働時間と売上(時給 × 時間 × マージン率)を集計できる
特別に新しいことはしていません。ただ、自分たちの運用にぴったり合う形で揃っているのが大事でした。
1週間でリリース。技術スタックの選び方を妥協しない
社内ツールほど、「業務で使える最低限」で動かしてしまいたくなりますが、ここは妥協しませんでした。今後お客様にお勧めする構成と地続きの技術で作っておけば、自分たちが運用しながらノウハウを貯められるからです。
採用したのは次の組み合わせです。
- TanStack Start: 軽量で SSR の制御が細かく効くフレームワーク
- Convex: TypeScript ファーストのバックエンド。スキーマもクエリも型安全で、データ変更が自動でクライアントに反映されます
- Better Auth: フレームワーク非依存で柔軟な認証
- Mantine + Tailwind CSS: デザインに統一感を持たせつつ、必要なところはカスタムで作り込める
- Vercel: デプロイは Push して終わり
Convex を選んだのは、月次集計やフィルタを自分で SQL に落とす手間が省けることと、稼働入力した瞬間にダッシュボードへ反映される体験を、追加コードなしで実現できるからです。「内製化したけれど運用で詰む」を避けるための技術選定でもありました。
ファーストリリースまでにかかった時間は、設計から数えても1週間程度です。最初に出した版は機能を絞っており、エンジニア向けの稼働入力、管理者向けの集計、メンバーとプロジェクトの管理だけでした。
毎週の定例でフィードバック、その場で直す
リリースしてからの方が、ある意味本番でした。毎週の社内定例で「ここが入力しづらい」「この集計が欲しい」をその場で聞き、優先度の高いものから対応していきます。
- 「開始時間と終了時間で入力する方が早い人がいる」→ 直接入力と時間計算の両方式に対応
- 「自分が配置されているプロジェクトしか選べないようにしたい」→ 配置情報でフィルタ
- 「月次レポートを見ながら、エンジニア別・プロジェクト別で並び替えたい」→ ソート切り替えを追加
外部ベンダーに依頼していたら、見積もりと仕様調整で数週間。内製なら、定例で出た要望を翌週には触れる状態にできます。これは「コストを下げる」だけでなく、現場の感覚に合った道具を持てるという意味で、組織のスピードを底上げしてくれる効果がありました。
結果として、月末作業は別物になりました
具体的な数値は割愛しますが、月末の「数字を集める」「電卓を叩く」「貼り間違いを直す」時間は大幅に減りました。経営側が確認する画面は常に最新ですし、エンジニア側も入力フォームに数十秒触れるだけで終わります。
そして何より、自分たちが使うために作ったので、改善が止まらないのが大きな違いです。SaaS を契約しても、自社の運用に合うとは限らず、合わなければ運用側を捻じ曲げることになります。内製したツールは、運用に合わせて道具を直せます。
同じ課題を抱えるチームへ
もし以下のような状況に心当たりがあれば、Mistrack を作ったときと同じ構図に立っているかもしれません。
- 稼働時間のチェックや請求書作成に、月末の数日が確実に消えている
- SaaS を検討したが、自社の運用に細部が合わない
- エンジニア組織を持っているのに、管理業務はずっと手作業のまま
- 「業務を改善したいが、何から手をつければいいか分からない」
ミストラルテックでは、自社で経験した内製化の知見を、お客様の業務システム開発にもそのまま活かせます。勤怠管理に限らず、請求・契約・案件管理など、「お金がかかっているけれど目に見えにくい業務コスト」を、エンジニアの力で短期間に減らすご支援が可能です。
「自分たちの会社でもこういう小さなツールを作って動かしたい」と感じた方は、ぜひ一度お話しさせてください。